子育てインタビューにご協力いただける方、募集中!🎤

【インタビュー】休職(産休育休)からの復職…不安を払拭する方法は?

「女性活躍推進法(働く女性の活躍を後押しする法律として2015年8月28日に国会で成立、2019年5月29日に改正法が成立し、同年6月9日に公布されている)」という法律を耳にしたことはありますか?特にライフイベントにおける変化が多いとされている女性の方々は、このような法律を耳にした時に「実際のところ…どのようにライフイベント後に活躍の場をみつけているのか?」「本当にそれができるのか?」と不安な気持ちでいっぱいになることもあるかと思います。

そこで今回は、休職(産休育休)を2回取得・特に取得2回目の間に活躍の幅をご自身で広げていらっしゃる、Asamiさんにお話を伺いました。
実体験を具体的に語っていただきましたので、ぜひ「育休1回目と2回目の変化」「その中で何が不安払拭に繋がりそうか?」ご自身の状況と照らし合わせながら読み進めていただけると、イメージがわきやすくなります。

◆Asamiさんプロフィール

Asamiと申します。
年齢は30代半ばで、会社員+副業という働き方をしています。
家族は、夫・長男(4歳)・次男(1歳)の4人家族です。
現在は2020年度生まれの次男の育休中で、2022年2月に復職を予定しています。

◆1回目の育休(※)は、とにかく初めての育児に必死だった…!


※産前産後休業並びに育児休業取得におけるルールについて
◎産前休業:どなたでも取得できます
出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から請求すれば取得できます。
◎産後休業:どなたでも取得できます
出産の翌日から8週間は就業できません。産後6週間過ぎた後、本人が請求し、意思が認めた場合は就業できます。
◎育児休業:取得できる方の要件が決まっています
1歳に満たない子どもを養育する男女労働者は会社に申し出ることにより、子どもが1歳になるまでの間で希望する期間、育児のために休業できます。
(育児休業については、その他所属年数等の細かい決まりや延長申請のタイミング等があるため、事前に確認しておくことをお勧めします!)
●厚生労働省「あなたも取れる!」より引用

Q1:まずは、1回目の育休について教えてください

-育児や会社に対してどんな心境/どんな準備をして産休→育休をスタートさせましたか?

1回目の育休に入った時は、正直に言うと「やっと休める」という心境でした。

第1子を妊娠したのは転職してしばらく経った頃で、毎日仕事に追われ疲れきっていました。産休の数か月前からは業務の引継ぎが始まりさらに仕事が増えたので、早く産休に入りたい気持ちでいっぱいでした。

そんな心境だったので、仕事に関しては産休・育休に入る前に特に準備らしい準備はしていません。出産や育児については、漠然とした不安はありましたが、同時に「みんなやってるから何とかなるだろう」という根拠のない自信もあり、体力づくりのために毎日のように水泳やヨガに通っていました。

◆長男を8ヶ月で保育園へ、それが結果的に良い選択に繋がった!

-育休中に起こした行動は何かありますか?特に、キャリアに付随するものがあれば教えて下さい

仕事やキャリアに対してはほとんど何も行動しませんでした。前述のような心境なので仕事から距離を置きたいと思っていたのもありますし、初めての育児に必死だったのもあります。

あえてお伝えするなら、育休期間を当初の予定より早く切り上げて復職したことでしょうか。はじめのうちはできるだけ長く育休を取得するつもりでいたのですが、実際に第1子を出産して育児が始まると毎日が辛すぎたのです。精神的に追い込まれ、夜勤中の夫に泣きながら電話をかけたこともあります。

これを1年間も続けるのはとても耐えられないと思い、当初とは180度考えが変わって、0歳児クラスでの保育園入園を目指すことに決めました。その後すぐに認可保育園の情報収集を始め、長男は生後8か月で保育園に入園しました。

-行動を起こした理由、動いてみて良かった点があれば教えて下さい

0歳児で保育園に入園させたことについて、育児が辛かったという理由で当時は決断しましたが、後から思えばキャリアの面でも良い選択だったと思います。というのは、早めに復職したおかげで第2子の妊娠・出産までに約2年間の勤務実績を作ることができ、職場内で信頼貯金を貯めることができたのです。また私自身にとっても、2回目の育休に入る際の罪悪感が軽減されたと感じています。

◆職場の横の繋がりに安堵、交流を持つことで不安を払拭!

-主に会社へのアプローチという点で、育休中に起こした行動は何かありますか?

特に大きな行動には移していません。会社が主催する育休中の社員交流会に参加したのと、職場の同じチームで先に出産されていた方をお誘いしてランチに行ったくらいです。

行動を起こした理由、動いてみて良かった点があれば教えて下さい

前述の交流会とランチ会に参加してみて、交流できて良かったなぁとは思いましたが、そこまで意識的に行動したわけではないので、あまり印象深いものはありませんでした。

◆2回目の育休は、できることをやろう!と復職までのイメージを持たせることで余裕を持てた…!

Q2:続いて、2回目の育休について教えてください(特に1回目と2回目で変化のあった部分を教えていただきたいです)

-育児や会社に対してどんな心境/どんな準備をして産休→育休をスタートさせましたか?

2回目の育休では1回目のような不安はあまりなく、「育休中だからこそできることをやろう」という感覚が大きかったです。2人目の育児で一通り見通しがついていましたし、1人目と同じ会社での育休取得だったので育休から復職までのイメージもあり、余裕があったのだと思います。

1回目からの変化でいうと、1回目の時は主に育児に意識が向いていて、子どもとの時間を充実させることを重視していました。2回目は、どちらかというと働き方やキャリアに関して経験値を上げたいという意識が強くなりました。なぜこのような変化が起きたのか思い返すと、ひとつには、1回目の育休復帰後にかなりの浦島太郎状態だったことが影響していると思います。周囲の先輩ママから「育休後はPCの使い方が分からなくなるよ」と聞いてはいたのですが、会社のプリンターの使い方を忘れていた時は衝撃を受けました。また、自分自身の年齢が上がって1回目の育休時よりもシビアに今後のキャリアについて考えるようになったこともあり、2回目の育休中は「もっと働き方やキャリアについて考えよう」と思うようになったのだと思います。

◆コロナ禍だからこそできたインプット、それらをアウトプットできる場所に踏み込んだ勇気!

-育休中に起こした行動は何かありますか?特に、キャリアに付随するものがあれば教えて下さい

まず、副業をいくつか始めました。1回目の育休復帰後に国家資格キャリアコンサルタント(※)を取得していて、それを活かしてキャリア支援の仕事をしたいと思っていたので、キャリアカウンセラーや人事関連の仕事を始めました。

また、学びに対して積極的に投資するようになりました。2人目の妊娠前から通っていた社会人大学院やキャリア支援領域の色々なイベントに参加したり、時には自分でイベントを企画して、今まで経験したことのないことに少しずつ踏み出していきました。コロナ禍だったのでオンラインで参加しやすい環境ができていたのは恵まれていたと思います。

他に、これは前述の2つとも関連しますが、色々なコミュニティに参加するようになりました。副業先や大学院のほか、育児中や育休中の方々と繋がることのできる場も探しました。


※国家資格キャリアコンサルタント とは?
「キャリアコンサルタント」とは、キャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています。
<受験資格について>
キャリアコンサルタント試験は、次のいずれかの要件を満たした方が受験できます。
・厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者(講習カリキュラムは別表に記載)
・労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験(5を参照)を有する者
・技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
・上記の項目と同等以上の能力を有する者

●厚生労働省公式サイトより引用
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consulting.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consultant01.html

昨今はキャリアコンサルタント有資格者と直接キャリアについて話す「キャリアカウンセリング」を担っている事業や個人で活躍している方が増えてきました。特にコロナウィルスの影響もあり「今後の自分について考えたい」とご自身の“個”について考える機会が増えたこともきっかけとなり、活用する方が増えてきています。

-行動を起こした理由、動いてみて良かった点があれば教えて下さい

在職中は100%会社員としての働き方しかできないと感じていたので、育休という機会を利用して、それ以外の働き方や生き方を試してみたいと思っていました。一度復帰すると、仕事と育児で生活が埋まってしまい、それ以外のことに挑戦する余裕がほとんどありません。育休中なら、会社員以外の生き方を試すことができると考えました。

また、もうひとつの理由は、家庭以外に自分の居場所を作りたいと思ったことです。1回目の育休の経験から、毎日を子どもと過ごすだけでなく私自身は「社会との関わりを持っていた方が生き生きと過ごせる」ということが分かっていました。家族は大事にしながらも、それ以外の仕事やコミュニティを持ちたいと考えていたのです。

こういった思いがあり、2回目の育休中は副業や学びを実践してみたところ、活動の幅も人的ネットワークもぐんと広がりました。思い切って動いてみて本当に良かったと思います。

◆積極的に“今”の会社と関わることを増やしたことで、復職後の働き方に関しての交渉準備までできた!

-主に会社へのアプローチという点で、育休中に起こした行動は何かありますか?

1回目の時は完全に休みモードで会社から距離を置いていましたが、2回目はもっとコミュニケーションを取りたいと思っていたので、自分から会社に連絡をとる頻度が増えました。具体的には、同じチームだった後輩・同僚、人事と連絡をとっています。副業についての事前相談や実際に副業をしている人事担当者との面談、また今後のことも考えて復職時期を検討するために在職中の上長から情報をもらうことも意識していました。
直近では、復職希望を伝える際に、こちらの状況や要望を伝えて働き方に関する交渉ができました。結局その要望は通らず終わりましたが、私の状況を理解してもらうことはできたので、交渉ができて良かったと思っています。

-行動を起こした理由、動いてみて良かった点があれば教えて下さい

1回目の育休復帰の経験から「育休中も会社との関係性を続けていた方が、復職後の自分が楽になる」と気づきました。育休中に会社と疎遠になってもいずれ復帰はするのだし(何か事情があり復帰前に転職や退職を考えていれば別ですが)、離れれば離れるほど情報がなく不安になるのはむしろ自分です。それであれば、良好な関係を保ってスムーズに復帰できるようにしておこうと思うようになりました。

インタビュアーもな
インタビュアーもな

Asamiさんが復職の準備をするにあたっては「周りを巻き込むこと」が結果的にできたことで、不安ではなくこれからの未来を考えられる自信へと繋がったのでは?と感じました。

「休職から復職する」という点では、ご自身のご病気によってお休みを余儀なくされる場合やご家族の介護でお休みが必要になる場合も考えられます。それぞれがそれぞれに休職の理由や状況は異なりますが、全てにおいて「決して1人で抱え込まず、1人で全て解決しようと思わないこと」がとても重要です。

・所属している会社にどのような福利厚生があるのか?
・住んでいる自治体からどのようなフォローをしてもらえるのか?

情報を集めること、詳しい人に教えてもらうこと、これらができるだけでご自身のこれからの生活がガラッと変わることもあります。

Q3:現在育休中の方へメッセージをお願いします。

新年度に、育休からの復職を控えている人もいらっしゃると思います。
育休中の方は、保育園の結果が出るまで落ち着かない気持ちを抱えているのではないでしょうか。私自身、長男の保育園入園の申込みをした後は結果が出るまでずっとそわそわしていました。入園決定の通知が届いた時には、嬉しいような悲しいような何とも複雑な気持ちになったことを覚えています。

育休中は、自分を見直す良い機会です。復帰後の人生を納得感を持って歩めるように、いま一度自分の在り方を整理するのにちょうど良いタイミングだと思います。育休中に試行錯誤したり行動に移したりしたことは、きっと今後の人生の糧になるはずですので、悩んでいる方は何かひとつでも行動に移してみることをお勧めします。

◆最後に…

はじめての休職(産休育休)は、右も左もわからないことばかりです。
はじめての赤ちゃんとの生活に加えて、市区町村向けのはじめての手続き、所属する会社向けのはじめての手続き、赤ちゃんのはじめての予防接種、そしてはじめての保育園(幼稚園)の申込み…はじめての○○と「はじめて」づくしの毎日です。その中でも並行して「本当に復職できるのだろうか?」「私の仕事はあるのだろうか?」と社会から離れた時間もあるが故に「はじめての復職」を特に不安に思うこともあると思います。

しかしながら、「女性活躍推進法」のように、社会は女性の活躍を応援する風潮が整いつつあります。Asamiさんもおっしゃっているように「復帰後の人生を納得感を持って歩めるように」これからのことを考える時間を持ってみることに挑戦してみてはいかがでしょうか?

この記事のライター:もな

企業人事5年、人材紹介3年、求人を紹介しないキャリアカウンセリング2年(学生さん~社会人まで、キャリア面談/面接を実施した回数は1500回以上)、過去にはサービス業界の頂点から身近な学校法人や小売業まで「サービス」に特化した仕事に身を置き、今は家族(菩薩系の夫と子ども2人)との時間を大切にしながら「HR領域」にいます。言葉を操る仕事が、今の私の生きがいです。


他のインタビュー記事