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【インタビュー】発達障がい児の子育ては辛い?癇癪への対応や施設選びのポイントを聞いてみた

子どもが発達障がいだと診断を受けた瞬間、

「どのように育てていけばいいのだろうか」
「誰に相談したらいいのか」

と戸惑ったり悩んだりするママやパパは多くいます。

似たような境遇に立つママの体験が、そのような悩みを解決まで導けるかもしれません。

我が子が発達障がいがあると判明してから前向きになれたtaruさん。
理由もわからず、育てにくいと思う日々のほうが辛かったそうです。

今回は、我が子が4歳のときに発達障がいだと判明したtaruさんにインタビューをしました。

taruさんのプロフィール

ーーtaruさんの簡単なプロフィールを教えてください。

大阪市に住んでいる45歳のパート保育士です。
今年6歳になる息子と4つ歳下の夫と3人で暮らしています。

発達障がい児の子育ては苦難の日々

ASD(自閉症スペクトラム症)の息子を育てるtaruさん。ASDについて勉強をして理解を深めたものの、実践はやはり苦戦の日々だそうです。夫婦の片方に重荷がかからないよう、ことあるごとに話し合って情報を共有しています。

ーー息子さんが4歳のときに発達障がいと診断されたそうですね。どのような経緯で判明したのでしょうか?

taruさん
taruさん

区の3歳半健診時に身体測定を嫌がり号泣したことがありました。

保健師さんが心配して、時々様子を聞くために電話をくださるようになったのがきかっけです。

その頃、幼稚園のプレ(未就園児クラス)に通っていましたが、その中でもなかなかお友達と関われない、登園時や行事の時に母子分離が難しく泣いてしまう、など私自身も気になることがありました。疑問を保健師さんに相談したところ区の発達相談があるので受けてみないかと提案してくださいました。

区の発達相談を利用すると、発達相談→病院紹介→発達検査→発達障がいの診断が出るという流れでした。相談から診断までだいたい2ヶ月くらいの間にとんとん拍子に進んだことを覚えています。通常は病院の予約がなかなか取れなくて時間がかかるとも聞いていたので、この点はラッキーでしたね。

ーー息子さんの症状は何ですか?

taruさん
taruさん

息子はASD(自閉症スペクトラム症)です。
特に目立った症状は、
・感覚過敏(着る物へのこだわりが強い)
・興味の偏り(電車が大好き、特に乗車してドアや電車の顔や連結部を見るのが好き)
・コミュニケーションの苦手さ
・新規場面の苦手さ
・場面の切り替えの困難さ
などです。

ASD(自閉症スペクトラム症)に見られる症状は他にも、
・名前を呼んでも振り向かない
・触れられるのを嫌がる
・視線が合わない
などがあります。

ーー発達障がいの診断を受けて今後の子育てが不安になったと思います。
夫婦で子育てについて話し合いましたか?

taruさん
taruさん

夫婦ではことあるごとに話し合っています。
今日こんなことで癇癪を起こして大変だった、今日こんなエピソードがあって面白かった、可愛かった、困ったなどをいつも伝え合い、どちらか1人だけがしんどい思いをしないように気をつけています。

ーーASDについてどのように知識を得ましたか?療育に通わせよう、園を変えよう、など夫婦で決めたことはありますか?

taruさん
taruさん

お互い本を読んだりしてASDのことについて勉強し理解を深めています。幼稚園は元々息子にとても合っている園だったので変えるという選択肢はありませんでした。

療育は私が勤務しているこども園が療育施設を併設していたため、園長から一度遊びにおいでと声をかけていただいたのをきっかけに通うようになりました。

発達障がい児の子育てが辛いときはイヤホンで音楽を聴いていた

発達障がいを持つ子供の癇癪は、手に付けられないことが多いようです。
癇癪を止められない自分を無力だと責める必要はありません。気持ちがヒートアップしてしまったら別部室に避難することも大切です。taruさんはそうやって、乗り越えています。

taruさんが普段どのように息子さんと向き合っているのかを伺いました。

ーー発達障がい児を子育てするなかで、難しいと思った瞬間はありますか?

taruさん
taruさん

はい、たくさんあります。

息子が求めていることがこちらに伝わらなかったり、また伝わったとしても聞き入れることができなかったりするときは、どうしても気持ちに折り合いをつけることができませんでした。癇癪を起こした時、それが外出先で起こってしまった時には心身ともに疲弊しました。

ーーそのような難しい状況をどのように乗り越えていますか?

taruさん
taruさん

癇癪を起こした時は何を言っても無駄なので自然に収まるまでひたすら待ちます。泣き声に気が滅入ってしまったときは、息子の安全を確認した上で私が数分別室で過ごしたり癇癪が収まるまでイヤホンで音楽を聴いたりしていました。自分のメンタルを保つことはとても難しいですが、このような対策も大切だと思いますね。

時間が経ってお互いの気持ちが落ち着いてから、息子がいったい何を訴えていたのか、どうして癇癪を起こしてしまったのかを分析します。これも難しいですが大切な過程です。癇癪を起こすのには必ず原因があるので、何を伝えたかったのかを理解して代弁してあげます。代弁してあげることで、子どもも今後の社会生活において自分の気持ちを相手に伝えられるようになるのかな、生きづらさを感じることが少なくなるのかなと信じています。

発達障がい児を幼稚園に通わせる場合は、フリーの先生がいる園がおすすめ

安心して幼稚園に預けるためには、子どもに合った園を選びましょう。
団体行動を苦手とする発達障がい児の行動にも理解があり対応してくれる先生がいると安心です。担任以外にも、フリーの先生が多くいたり臨床心理士がいたりする幼稚園が適している傾向があります。

幼稚園での取り組みや心境についてお話しを伺います。

ーー発達障がいと診断を受けてから幼稚園の対応はどのように変わりましたか?

taruさん
taruさん

診断を受けたからと言って特に大きく変わりはありませんでした。元々とても丁寧に関わってくださっていましたが、加配の先生がよりきめ細やかに見てくれてとても安心して通わせています。こだわりの強さやコミュニケーションの困難さは診断を受ける前から理解してくださっていました。園生活で息子が困り感を出しているなと察知したときには、先生の方から声をかけてくださっているので息子も担任と加配の先生のことを信頼しています。担任と加配の先生には、とても感謝しています。

ーー発達障がい児にはどのような園が向いていると思いますか?

taruさん
taruさん

なるべくフリーの先生が多い園がいいと思います。

子どもの様子をきめ細かく見てくれて、気持ちに寄り添って丁寧に関わってもらえると思うからです。臨床心理士がいて、子どもの様子を見学した上で助言をくださる園ならなお良いと思います。

さまざまな症状や特性があるのが発達障がい。その子が何が好きで何が得意か、何が苦手かを把握した上で園探しをするのがおすすめです。

ーーこのような園なら苦労してただろうなと思う園は何ですか?

taruさん
taruさん

例えばADHD(注意欠如・多動症)の子にじっと座ってお勉強ばかりさせるような園は子どもにとって苦痛でしょう。できないことで注意を度々受けてしまうと、ストレスにつながります。

また、ASDの子のこだわりもさまざまです。息子の場合は着る物の感触へのこだわりが強く決まった洋服しか着ません。息子の園は幸い私服登園なので助かっていますが、もしも毎日制服を着ていかなければならなかったとしたら…毎朝親子共々疲れ果てていたと思います。

ーーおすすめの園の特徴はどのようなものとお考えですか?

taruさん
taruさん

お子様がどのような特性があるかをしっかり把握した上で、苦手なことを無理して行う園よりは得意なことを存分に発揮できる園を選ぶのが良いかと思います。苦手なことは療育で少しずつ訓練していけば良いと思いますよ。

ーーtaruさんが勤務している園では、発達障がい児への対応講座のようなものはありますか?

taruさん
taruさん

勤務している園には加配担当の職員が何人かおり、臨床心理士が毎週来てくださる園です。臨床心理士からは、支援の必要な園児への保育の助言をいただいています。園児の現在の困り事などを相談し、どのようなアプローチをしていけば効果的かという話をいただけるので即実践ができとても役に立っています。

発達障がい児を療育に通わせると成長が見られる

発達障がいがある子どもは、療育に通わせて個々に合った自立支援を受けているそうです。療育に通わせてから変わったことやメリットなどを伺います。

療育:障がいを持つ子どもに対し、個々の発達状態や障がいの特性に応じて現段階の困りごとや将来の自立と社会参加を目指す支援をすること
療育機関は各自治体にあります。「発達センター」や「児童発達支援センター」という名称です。保育士、心理士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士などの専門家が在籍しています。

ーー療育にも通わせているとのことですが、息子さんは戸惑うことなくのびのびと過ごせていますか?

taruさん
taruさん

私の職場併設だからなのか始めから戸惑うことはありませんでしたね。利用者が増えたり職員が変わったりするタイミングで「行きたくない」という時期がありました。その期間は無理に行かせず、本人がまた行きたいというまで待ちました。今では、楽しく通うことができています。

ーー療育にはどのくらいのペースで通わせていますか?

taruさん
taruさん

毎週土曜日の午前中に通っています。

以前は平日の幼稚園後に週5で通っていましたが、最近は週1回の土曜日のみに見直したところです。幼稚園でかなりのエネルギーを使うそうで、帰宅後に「疲れた」と言うことが増えたため週1回にしました。土曜日なら少人数でゆっくり遊べるので、息子も安心して通うことができています。

ーー通っている療育は日祝や長期休暇も通えるのですか?

taruさん
taruさん

息子が通う療育は日祝は休みです。送迎サービスがないため送迎は保護者が行います。そのため長期休暇中も送迎さえできれば通うことは可能です。

送迎サービスのある療育であれば、幼稚園や保育園まで迎えに来てもらえます。送迎サービスがあると、保護者が仕事をしている時間でも長期休暇中も通所は可能です。療育選びの参考にしてください。

ーー療育に通わせてみて感じたメリット・デメリットを教えてください。

taruさん
taruさん

療育のメリットは、幼稚園以外でも信頼できる保育者と出会えて、息子の苦手だったことができるようになってきたことです。

息子の場合、活動の切り替えが難しくなかなか次の行動に移ることができないという課題がありました。しかし、療育トレーニングのおかげでタイマーを使って終わりを知らせたり、絵カードで次の行動を知らせたりすることで、スムーズに切り替えができるようになったことです。

デメリットは体力を使うことです。幼稚園後の夕方に通うので、疲れやすく眠くもなります。そのため、帰宅後は機嫌が悪くなることがあります。息子に「なんで俺療育行くん?」と聞かれたときは返答に困りましたね。また、息子だけではなく私自身も疲れます。送迎サービスがない療育なので、送迎するのにもエネルギーを使ってしまうのが難点です。

【メリット】
・信頼できる保育者と出会えた
・苦手だったことができるようになってきた
【デメリット】
・帰宅後は疲れのせいで不機嫌
・送迎だけでも疲れてしまう

ーー子育てがしんどくなったときにリフレッシュをしていますか?

taruさん
taruさん

仕事が息抜きになっています。保育士でやりがいもありますし、子ども達がかわいいので癒されています。自宅での楽しみは、好きなお酒を飲みながら韓国ドラマを観ることです。たまに息子を夫にお願いして、友達とランチや飲みに行けるときは何よりもリフレッシュできる時間です。また、思いっきり掃除するのも私の場合は気分転換になります。

taruさんからのメッセージ

ーー最後に、発達障がい児を育てるママパパさんに伝えたいことはありますか?

お子様が発達障がいだと診断を受けたとき、どのようなお気持ちでしたか?ショックでしたか?私はホッとしたのを覚えています。「育てにくい」と感じた出来事には理由があったのだと思うと、とても気持ちがラクになったからです。

発達障がいの名前に衝撃を受けて落ち込んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。私は療育手帳に「知的障がい」と書かれているのを見たときは少しだけショックでした。でもそれだけです。

発達障がいだとわかれば「これから手立てがたくさんある」「息子が生きづらくないよう将来自立した生活を送れるようにしてあげなければ!」と思い、さまざなな本を読み講習も受けました。療育の先生ともたくさん話して息子の今を共有しています。今は発達障がいへの理解が深まり、支援の場がたくさんあるのが利点です。なるべく早くにお子様に合った療育を受けさせてあげることをおすすめします。

お子様にはきっと得意なことや好きなことがあるでしょう。お子様の気持ちを尊重してあげるのが良いと思います。とことん突き詰めて「将来は研究者になるんじゃないの?」なんて親バカなことを考えたりするのも楽しいですよ。(笑) 

発達障がいの症状やお悩みはそれぞれのお子様で違ってくると思います。かわいくて大切な我が子のひとつの特徴!くらいに考えると気持ちが少し楽になりますよ。なるべく前向きに育児をしていく方が良いと私は考えています。

発達障がいのお子様をお持ちの保護者の皆様、これからも一緒にたくさん悩んで泣いて笑って子ども達の成長を見守っていきましょう!そうすれば、私達親もさまざまな物事に気づけます。この歳になっても、まだまだ成長できる気がして勇気が湧いてきます。

子どもはお父さんお母さんの笑っている顔が大好きです。一緒に楽しみながら子育て頑張りましょう!!

発達障がい児の子育ては周りの理解を得て情報を共有し合うのが大切

近年、発達障がいへの理解は深まってきています。

発達障がい児の子育ては、苦労を1人で抱えるのではなく、周りに相談して効果的に支援していくことが大切です。

自宅や幼稚園では解決できない悩みは、専門家に相談して個々の症状や特性に合った支援プランを計画してもらいましょう。

発達障がいの子どもの子育てに苦戦している方には、今回のインタビュー記事が役に立つかもしれません。ぜひ参考にしてくださいね。

taruさん、インタビューを受けてくださりありがとうございました!

この記事のライター:もふぃ

関西在住。夜勤旦那を支えながら1人息子を育てる主婦です。住宅リフォームの営業経験を活かして住宅系ライターとしても活動中。充実した在宅育児を送っています!

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